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診察室の窓から


by italofran55
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三島由紀夫のdisease diagnosis

三島由紀夫の病名 診断については、意見の分かれるところであるが

先輩である病跡学の専門家にお聞きしたところ、

自己愛性人格障害でしょ? と簡単に言われた。

なるほどと思ったが、統合失調病説(分裂病)もあった。

著作には、そうであっても不思議のないトートロジーに満ちた不可思議な観念論が

それこそ滔々と延々と述べられているくだりもある

それに反し、評論は立派な知性を感じるものが多いー対象の選択は別として

病態に関しては、対象関係からのべられた、以前の慈恵医大の精神科の教授であった牛島氏のものがかなり私の興味を呼んだ。

死に方が強烈であったので、そのころの心理状態もかなり診断をするとすれば参考になるのではないかと考えている

うつ状態の極みとも思える agitation(激越性うつ) agitative depression

その生涯を負ってみるとそううつの波もあるようであるし
それは、life-stageを乗り越えるときに必然的に来るもので
そううつではないという見方もできる

人からの距離のとり方としては精神病風のところもあるが
循環気質ーそううつ的であるところもよくみられる

混在していたのであろうか
もう少し読み込んでみたい。

単純な双極性ーそううつの何かでないことは確かであるが。

彼の死が、観念的な何かの操作の結果であったとは思えない

豊饒の海のあとに、藤原定家の小説を書く予定であったとも聞く
紅旗征戎 我がことにあらず と述べていた
藤原定家に思いを寄せながら、政治的?発言を先鋭化させていたことは皮肉ではある。

ドイツの精神病理学の大家である人の著作で メランコリーという うつ病に関しては読まざるを得ない著作の中に

死は後ろ向きに、終末のほうからこちらへと、人間存在のほうにむかってはいりこんでくる。
とかいてあるところがある。
三島の言動には若き頃からこの死の想念に付きまとわれた言動が散見せられる。

表面的な華やかさの裏に
傷つきやすい何か

傷ついてしまったなにか

あらかじめ失われていた何かがあることは
確かなようである

三島の作品を読むことはつらい
キッチュなスターの裏に
成熟を拒否し
あるいは日本古代文学に存在する
花風を詠みながら
ある無をあらわす何かがあるからだ

擬似西洋的な教育を受け入れてきた
わたしには、もはや諦念を持ってしか読めない何かかが
そこにはある

三島の病態(あまりにも不遜な言い方か)
につていはまた考えてみたい。
三島由紀夫のdisease  diagnosis_c0156217_155147.jpg

by italofran55 | 2008-01-08 23:27