診察室の窓から


by italofran55
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街の渋い店が消える

何年か前 洗足の町の鰻屋がなくなってしまった。
跡地は住宅会社に貸しに出された
そのほうが儲かるのだろうか

三軒茶屋も有名な鰻屋は廃業してもう一軒 若林に残っていた店もなくなってしまった

そして洗足にあったただ一軒の和菓子屋も廃業するそうである
和菓子好きとしては痛い ただし和菓子の先生から聞いたら
砂糖のかたまりですよとのこと 本当に健康にいいのかな

日本の町から味のある商店が恐ろしい勢いで消えて行っている

産業から行くと高度な工業国の仕事はとても多様化しているという
東大の教育社会学の本田由紀さんという人の書籍に出ている
多元化する能力と日本社会 c0156217_8551265.jpg
精神科からみた仕事ということを考えさせてくれる本だ

それについて行けない人も大量に出てきている

仕事は多様化して難しくなっているが
実際の町や食文化が多様化しているといえるのだろうか

豊かさの本質的なところから行けば
商店街がじつは安定した職を供給していたともいえる

そこから追い出された人たちが
急遽 メンタルクリニックにきているという構図も
ありそうである

ヨーロッパにはあるが日本には
もう昔のような商店街は復活できないだろうな

写真は最近facebookでよく見る フランスの危機に瀕する古城というサイトである
フランスは無数にこのような廃墟が残っている
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# by italofran55 | 2012-05-11 21:15 | 社会ねた
週刊朝日はクリニック用に毎週取っているので
なにげに読んでいる

Kという婚活詐欺 凶悪犯罪者についてのルポが
はじめは面白くて読んでいた

ジャーナリストっていうのかな単なるルポライターでしょ
最初はおもしろおかしく読んでいたんだけれど
最近読めなくなったし 
何となく吐き気を催すようになった

不美人 売春婦 デリヘル 平成の毒婦 ?
しかし 判決は最高裁まであるんですよ

しかもこの人の親族まで巻き込んでいる
有罪は確定していない

このルポライターは相当いい女だ
銀座のホステスでも通用するだろう

しかし、いいのかな
わたしには平成の毒婦の裏返しに思える
自分を売り出したくてうるうるしている
毒婦という本の出版記念 トーク&サイン会もやるという

犯人には犯人の人権とプライバシーがある

この人はそれをわかっていない
微に入り細にいった人生が全部推測通りともわからない
ジャーナリストとしてははとっくに失格だ
小説家になりたかったのだがだめだったのだろう

わたしにもこんな経験がある
デイケアを取材にきて2時間ほど取材と称して
勝手なことを自分の出版に書いていた
有名にはならなかったが

このたぐいの人たちは自分を売り出すことが
最終目的と思える どんなに才能があっても

その餌食になったのが平成の婚活詐欺師だ
このルポは社会になにももたらさない
成り上がりたいという欲望の産物に
人は踊らされてしまう
言論による集団リンチをしないのが
民主主義の基本ではないだろうか

こんな記事があるならば
犯人も被害者も匿名にするべきと思う

人権が大事だ 弱者のために 
あの寒い北ヨーロッパはそのことに
気がついている
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# by italofran55 | 2012-04-25 22:04 | 社会ねた
c0156217_9411027.jpgしずちゃんはたしかに おかしい といっても
漫才の話だが

脳のほうは異常はなかったらしい
しかし しずちゃんはある意味では
変わっていると思える

漫才を目指す人の中には
変わった人が含まれていると言ってよいだろう
最近わかったが深刻なのは 京都の祇園のひき逃げの犯人さえ
吉本に属していたというものだが

一例を挙げれば 発揚者-hyperthimie いわば いつも元気指向の人
情緒不安定型 自己愛型
双極性障害などが含まれているだろう #実際のクリニック体験からもあり#

広汎性発達障害のなかの 積極的奇異型ーさんまがかわいがっていた ジミー大西などこのタイプではないだろうか

しずちゃんは 平均的なところからいけば 変わっていると言っていいだろう
そういう意味では やはり おかしいのだ
潜在的に おかしい とうところをもてはやされて
医学が出動してしまったと
やぶ医者は考える

個人的に大きくて包容力のありそうなのにときどきviolentな
しずちゃんのファンではある(笑)

写真は現在のシャンパーニュ地方 ブドウが芽吹いているのか?
tarlantというメーカーからのもの
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# by italofran55 | 2012-04-19 21:13 | 医学

フロイトのイタリア

c0156217_2222654.jpg友人がブログの更新がないとのおたっしで なにを書こうかと 考えていまして
昨日あたりからふっと頭に浮かんできたのがこの本です

このところフランスは行き過ぎていたのがイタリアに興味が移り
帰国して図書館で片っ端からイタリアという名前のつく本を検索していて
であったのがこの不思議なタイトルでした

京都大学の美学美術史の教授 岡田温司氏の書いた物です
京大関連は結構 分析おたくというか フロイトだいすきな才人というか 天才肌が多い

フロイトとイタリアというと あんまり関係なさそうである
一般的に言うと ウィーン・オーストリア ロンドン・イギリス が思い出されるが
この本は微細にかの国へのフロイトの愛と禁制と接近を描き出す。

なぜこのように書けるのかというと
フロイトの書簡と日記と著作と、弟子たちの似たような膨大な記録があるからであろうと思われるし
それはゲーテのイタリア紀行のフロイト版のようにもみえる。

岡田氏の本はまことに精神分析の鮮やかさを患者ー症状でなく 人間ー文化ー美術の分野で描き出し
精神分析の諸教科書よりその本態をえぐり出しているかのごとくである

さまざまなインスピレーションを与えてくれる岡田氏の著作、とくにこの本の中で
でてくるフロイトの著作の中で不思議な題名の物がある
岡田氏が無意識に読むように薦めている感じさえする

モーゼという男 というもので
それも読んでみる

ユダヤ教の中でモーゼは不思議な位置を占めている
代々の血統を述べているのに 彼は出てこない
だが その教えは教義の根本を形成している

かれは何者なのか?
壮大な推理小説を読んでいくように
フロイトは謎を解き明かしていく
シャーロック・ホームズみたいだ かれもユダヤ人か? 名前からして

モーゼはユダヤ人ではなく
エジプト王族の王子と推定している

世界で初めての一神教 アトン教の熱烈な信者だ
アトン教は初めて 愛と自己犠牲をうたった宗教と言われ
その創始者がじつははじめての意識的な世界人ー個人ともいわれる

多神教であったエジプトに一神教が生まれ
争いが起きる

国が乱れたときに王子の一人であるモーゼが
シナイ半島の地方の総督となり
その奴隷たちに一神教を強制する
神に選ばれし人民である

そこから現代の源ともいえるユダヤ教
ユダヤ教を父として克服したキリスト教が生まれていく

モーゼが始めた実験からである
モーぜはその後40年の放浪の後に
カナンの地にたどり着き
そしてなんと自分の精神的な子供である
ユダヤの貴族たちの殺されたというのである
ここにもエディプスコンプレックスがあるとでも言うように

いろいろな逆転がうまれている
ユダヤ人にとって許せないのは
モーゼがエジプト人であったという説であり
それはエジプト側からもいえる

何という始まりと結末で
何という壮大な物語であろう

これが科学でなくても
第一級の推理小説にして神話ではないか

フロイトのイタリアと モーゼという男を 読み終わり
私は不思議な感動におそわれる

フロイトはモーゼに自分を擬しているのではないかー無意識にしろ
人は誰かを描き出すときに自分を参照しないことがあり得ようか
 
精神分析という危険な教義をひっさげヨーロッパの中世精神世界を打ち破るために登場し
多くの弟子を育て誹謗中傷の中で膨大な仕事をし
ナチスに追われロンドンで死す

弟子には反乱され、多数の宗派がその後発生するが
教祖としての地位は精神ー心理世界においては
モーゼに匹敵するだろう

岡田温司氏の著作は濃い
時間があったら精神科医にとって自分をとても豊かにしてくれる
深さがある 全部読んでしまいたいものだが

日常に追われつい
現代風の精神科医のための便利本を読んでしまうのだ。

わたしにとっては精神分析は患者さんに適応するものではなく
一般人間心理 文化を解き明かすときに
重要な鍵となり得る物である

それは魅力と困惑を思い起こさせる
危険な両刃の心理的メスである
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# by italofran55 | 2012-04-17 21:38 | 旅行

エルマノンビルの墓

カミュの異邦人を フランス語で読み終わる 恥ずかしいくらい時間がかかる
おそらく 名文家なのだろう フランス語のよくわからない私でさえ
簡潔で事物的な 説明は少ないがすべてを語り尽くす、深くて軽快な文章の連続に圧倒される
これが地中海文学なのだろう

とくに小説の終わりあたりに 
聴聞僧が死刑囚の前に現れるころから 小説世界が実は一変し 即物的に表現される壮大で美しいそして絶望に満ちた哲学が開陳される

普遍的な人がじつは見えない牢獄にいてすぐそこにいる世間的な暴力と確実に迫り来る死と対峙している
それはあらゆる人間がであう寓話のようなものなのだろう

死を意識したとき皮肉なことに世界はその甘い果実を囚人の前の現出させる

カミュやグルニエの事象の裏に潜む心理をえぐり出す文章はスタンダールなどにも見られる
おそらくじつはフランス文学の正当な後継者なんだろう

なぜこの本を読んだのだろう
玉村豊男のプロバンス NHKでの放映に ジャン・グルニエという哲学者の簡素な真夏の別荘が映っていた
そのあたりから 彼に興味を持ちはじめた

カミュはアルジェの高校にいたときからグルニエの優れたの教え子であり、自動車事故で突然死するまでその師弟の深い尊敬と友情は続いている 往復書簡も買ったがまだ読んでない 閑暇があればどこかに持って行って読んでみよう

カミュの墓は南プロバンスのルールマランという鄙びた美しい村にあり グルニエも滞在していたことがある
いつか住みたいなと思う かわらぬ村の中央にある広い草の運動場に寝転んで見上げた空が
忘れられない 

グルニエの別荘はそこからクルマで2時間くらい北の高地プロバンス シミオネ・ラ・ロトンダにある
グルニエの著作を原文で読もうと思っててはじめに 諸島 という本を手に入れて読んでいる
なだたる美学哲学者であるが難解な言葉は一切使っていない が難しい

感覚的な言葉で深い哲学を語ろうとすると わたしのような異邦人にとってその外国語は実はひどくやっかいだ
カミュはこの師の文体を深く物にしているといってよいだろう

諸島のなかに ケルゲレン諸島という章があり
そこに、ルソーはエルマノンビルにおいてさえ迫害された という一節がある

註を読むと ルソーは死の六週間前にエルマノンビルにあるジラルダン侯爵の城館にかくまわれて
死去したとあり
エルマノンビルの城館はパリの北西45km 深い広大な森 森の間に広がるデゼールー白い砂丘上の荒れ地 そしてその庭園の池の中にルソーの墓があったという

私の感ではフランスはこの一帯を完全に保存しているだろうということであり
インターネット上の画像で検索するとやはりその通りであった
いつかいってみたいものだ

私の驚きはパリの近郊にそのような驚くべき神秘な場所がまだ完全に残っていることだけではない
イブ・サン・ローラン自伝映画にでてきたパリ郊外の別荘も之が地上の物かと思われる物であったし
旅行者が知らないすごい世界がヨーロッパにはおそらくごろごろしている
それはおそらく自由で豊穣で強靱な精神世界と相応しているのだろう

それより、ルソーといえばその後のフランス革命やヨーロッパの市民革命の先達となった
当時の最重要危険人物であるが

それを平然とかくまう高級貴族がおり
またその城館がそのまま保存されていることである

ウィキリークスの創始者が追われてイギリスの有力者にかくまわれているのに似ている
個人財産と自由が権力からちゃんと守られているのと思われる

カミュの読後感から思わぬ方向に夢想してしまったが

私が魅了されるフランスの深さはいろいろなところを掘っても通底している様に思われる。
それにしてもいつグルニエの著作をフランス語で読み終えるのはいつだろう
写真はシミオネ・ラ・ロトンダc0156217_915177.jpgと エルマノンビルの城館c0156217_910097.jpg
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# by italofran55 | 2012-03-13 09:16 | 文学