診察室の窓から


by italofran55
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

<   2009年 05月 ( 5 )   > この月の画像一覧

地の力 陽の光

急遽 神戸の学会がインフルエンザ騒動で中止
週末は久しぶりに、妙高、野崎湖周辺で過ごした

新緑は素晴らしいが、日の光が弱く
きらきら感はなかったな

有名なホテルで週末というのに
ディナーは3組 やはり不況なのかな
田舎ソムリエがいい味を出していました

今日の1っポン
sanserre 造り手 Alphonse Mellot saubingon blanc
En grand champ 2007
偉大なる畑にて・・か?

秀逸なる酸味 美味なる日本の田舎フランス料理にぴったりであった
ちなみに、ホテルオークラ関連ではどこにもありそう

野尻湖のボート屋のおばさん
客はぜんぜん少なくてと、きわめて寂しそう

人気のない湖好きの私にとっては
その魅力は増しましたね

ちなみに
隠れ 寂れた湖オタクです

シドニーから海岸へいった
二流住宅地の小高い丘に囲まれた
人気のない湖

フレーザー島のいくつかの湖

北軽井沢を谷のほうに下った
廃墟の遊園地の横の湖

paradisとしては
モンペリエからペリピニアンへと
延々と続くカマルグの遠景なんかお勧めです

平日の野尻湖はかなりきてますね
南東のほうはほとんど開発されていないので
日本の風景ではありません

ただし、サングラスをかけたこわい
バスつりがいっぱいいますので
かなり雰囲気はぶち壊されております



帰りに長野の新幹線の駅で
巨大なアスパラとなめこ茸を思わず購入
都会に売っていない偉大な地の力に
やはり、ここらへんに住みたくなりますね

高校と大学の同期生が
長野のデパートの社長となっていたので

懐かしく再開
見事に経済人として
若き面影を残しつつ成熟していた
c0156217_21455258.jpg
c0156217_21461883.jpg

[PR]
by italofran55 | 2009-05-25 21:46 | 旅行

神々の沈黙

神々の沈黙という本は、
最近、精神科の偉大な先輩、加藤敏氏、野村総一郎氏が好んで取り上げているので
ちょこっとつまんでみた

著者のジュリアン・ジェインズはアメリカの天才的文化人類学者で
この20世紀最高といわれるこの著作だけを残して早世したという

名前からして尋常じゃないな

彼が言いたかったことをつまんでいうと
古代人は右脳と左脳が現代人のように連携しておらず
右脳で現在人の幻覚に似た全体的意思を神のものと感じ
左脳でそれを遂行していたというのであり

現代の統合失調症の幻聴などはその残滓であるという

またそのころは、人は意識という近代的個人的なものは持たなかったゆえに
統合失調症やうつ病も出現しておらず

近代の神の死あたりより
それらの疾病が出現してきたというのである

そのころはちょうど、生産力の増大により個人の所有が認められてきたときと一致するというのである

精神科の疾病はそのとおり、時代の刻印を濃く受けているといってよいだろう

ではその古代には神がいて今は神が沈黙しているのであろうか
あるいは、ニーチェのいうように神が死んだのであろうか?

ここからは私見である

鳥の軍団や、蜂の集団行動を見てみよう
見事なものである
おそらく、ジュリアンのいった神の命令が働いているものと思われる
言葉でない、音波、電子信号に類する何かが働いていないと
この整然とし、ストレスに柔軟に対応し
複雑系の行動は取れない

それに対応し人が失った脳機能を
鳥や、蜂は明らかに有しているのである

ジュリアンは古代人が同じような脳機能を持っていたといいたいのであろう
個人がないので生贄の予言にも嬉々として応じていた
集団的な信号が言語でない方法で聴こえていた可能性がある

集団の首長は言葉を独占し予言し
右脳に生じた神の言葉を
集団に伝えていた
言語が発生し、そのほかの機能が衰退し始める

王の祖先は預言者であろう

そうしてはるかな時代が経つうちに
ひとは、食物の備蓄を知るようになる

上流階級の独占であった言語も次第に集団に浸透し
時間に支配されていた人々は
時間をある稚拙な意味ではコントロールできるようになる

言語機能はそうした本質的な意味で
階級をくづす本質を持つという人もいる

時間のコントロールは所有の始まりであり、自然の征服である

人がそうして賢くなり
神が自分に似せて人を作ったと信じたころより
イーリアスとオッデッセイアの物語に決定的な差があると
そこに個人の感慨が始めて出現しているというような事態になる

神は人になれ親しいものに成り果ててしまう
そして
現代の初め
神は死んだとまでいわれてしまうのである

はたして、神々は沈黙しているだけなのか

はたして、神々は死んでしまったのか

今のところはわからない
科学というものは
神を探そうという深層心理をもっているだろう

失くしてしまったり、隠れたしまったので
人はそれを探すようになった

ただ、おおきな全体の一部分であったひとは
世界の単なる構成物であるという宿命と

普遍的な神の意思をもったものであるという
矛盾した存在となってしまったのである

そこから近代以降の

精神的疾病の大部分が
そのときあたりから
出現してきてしまったのである
c0156217_21285485.jpg

[PR]
by italofran55 | 2009-05-21 21:23 | 医学
閉じ込められた 取り残された
こんな感じになったら

落ち込むどころか、死にたくなりますね
私自身、閉所恐怖症と、高所恐怖症をもっていますから
よくわかります

閉じ込められ感ーincludenz

取り残され感  -remanenz

難しいドイツ語ですね、辞書引いてもなかなか出てきません

テレンバッハというつい最近まで生きていた
ドイツの精神病理学の教授が著作にて表しています

閉じ込められ感は

空間的な秩序に閉じ込められ
自由を失うか、追放されます

取り残され感は

時間的な秩序から
取り残され、孤独になります

こわいですねー
聞いただけで落ち込みません?

心配しなくていいですよ
ちょっと前の
秩序や、勤勉が
重んじられいた時代の
うつ病です

このところ、現代はその美風を失いつつあります
あの理想に燃えた
共産主義の国や社会主義の国の有様でさえ
時間と利益により人の精神生活は
自由主義の国よりひどいですからね

非定型の時代に生きるわれ等
うつ病も非定型化しつつありますからね

軽くなり、治りにくくなる秘密が
古きよき時代の精神病理学からも読み取れますか

でもどこかに
こんな感じがあって

ひとは
落ち込んでいるのかもしれませんよね
c0156217_2205179.jpg

[PR]
by italofran55 | 2009-05-19 22:00 | 医学
タイトルは相当古いな

はるか昔、わたしが山から出てきたとき
東京ではアートシアターギルド ATGという映画運動があった

桃井かおり、原田芳雄、松田優作とかがでることもおおかった

一応映画少年であったわたしは、その類の映画は好んでみていたが
映画少年過ぐ、の時代に入ってしまった

またこの題名の映画を見てみたい
あのころ難解であったかずかずのアフォリズムが
今は少しわかるかもしれない

じつは、あらかじめ失われた という構造は
うつ病の構造そのものである

帝京大学の精神科の准教授で秀逸な精神病理を常に展開する
内海健氏の著作にもいつも出てくる

または、この喪失構造については精神分析理論でもあり

人は幼児期に母との一体という楽園から
あらかじめ追放されているという骨子である

一生かかって楽園を回復するというのが
ひとの運命とも言える

喪失を認めない人間がうつ病という裂け目に落っこちてしまうというのである

ここで、やはり無意識と意識の表裏一体の不思議なメビウスの輪
エッシャーのだまし絵のような、無限のエネルギーと元に戻ってきてしまう
構造に行き当たる

人間存在の管腔構造と同様のものだ


原始生物は細胞から、徐々に管腔構造をとるようになることで
食物を摂取し排泄するサイクルができる
食欲の始まりである

欲動は、裂け目と裂け目を形成する周辺
、あるいは、空虚な空間ー何者かに囲まれたーに存在させられる

欲動はそれを埋めようという意思により
管腔構造を突き動かしている

埋めようという運動ができなくなるとーdepression
極端には死んでしまう

うつはある意味では、欲動の死の予感であり、怖れの意識化である
運動の硬質化である

管腔構造が人にはもうひとつ加わっている

腸管系排泄腔になぜか程近いところに派生した
性器腔である、
性欲はおそらく食欲から派生している
そして

女性の性器と、男性の性器はまるで表裏一体のような構造を持っている

あらかじめ失われたなにかのように

それらはひとつでは生きていけないが
合体したままでも死んでしまう
ほとんどの時間は
距離をとっている
あたかも裂け目がなければ
欲動が発生しないかのように

恋人たちはあらかじめ失われたものを
求めるように惹かれあう

そして欲動の背後に
あのうつとかいうやつが潜んでいる

うつを無意識に体験した人は
そいつをやりすごすことができる

赤ん坊はいつも何かを失って泣いているよね
それは激しい獲得と喪失の時代だ

もうぼくは一回死んでいるんだと
私は本当に死ぬほど悲しかったのよと


だからきみやあなたががうつに

あなたを昔から知っているわよ
とささやいたとき

うつはまた
あなたの背後に

c0156217_0283964.jpg隠れてくれるかもしれない
[PR]
by italofran55 | 2009-05-12 00:13 | 医学

対抗同一性と反復強迫Ⅰ

対抗同一性とは、心理学上の用語で自己同一性から、発展させられた概念であろうー自分が育てられた価値に対し反抗的に自己を形成していくことー精神科医、病蹟学者である福島章氏が主に提唱している

このところあまり聞かなくなっているが、私にとっては興味深い概念であるーわたしもそういう時間を持っていたからか

なぜ わたしがこの言葉を思い出したのかと言うと

知り合いの精神科医が 日本のcontemporary artのコレクターで
最近著書をもらい

会田誠や、天明屋尚の絵が大変評価されているということーここ何年かかな
見ているうちに思い出したんですが

それを私なりに評論すると
対抗同一性で説明できる作品が多いと思ったんです

現代の対抗同一性の性向の強い絵画がほんとうにオリジナリティをもちうるか
後世から評価される絵画になりうるのかと考えていました

結論から言えば、あだ花ーカリカチュアにすぎないのではとおもいますね
それを超えているものもあるかもしれませんが

批判精神はあるけれど、こちらの魂を揺さぶる何かにはなっていないかな

資本主義があって、それに対する批判的対抗概念として、社会主義、共産主義が発生した
自分が生まれ育ったものを批判的に見て、自己形成を図るというところでしょうか
元のものを創造的に超えるのはとても大変なんですよね


ここで、本業の話に戻してみると

自己同一性確立の重要な時期は、いうまでもなく、思春期です
そのときに、対抗的要素がないということも、また不自然ではあるが
対抗的要素が強すぎると、精神的、身体的に破綻してしまうかもしれない
文化的創造性もそうでしょう


同一性とは不思議な概念であるが、便利でもあります
人は変化しながら、外界と交流し、変容、変態しながら同一性を保つというのである

同一性の確立は、自己が対象とのかかわり方を確立することと同じである

その後何が起こるかというと
人の一生は、形成された有意識構造と無意識構造からできた自己現象の反復に彩られることとなる
そのときに精神科的病気もかなり明確に出現してくる

最近人類学者の中沢新一氏と自治医大精神科教授の加藤敏氏ーこの人もちょっと天才、下北沢の神経科のむすこさんらしい との対談で

無意識と意識の構造は、表と裏のわけることのできないメビウスの輪のようなもので
中心には穴があるという対談を読みましたが
それまでの意識ー無意識の上部構造、下部構造の図式とは違う画期的なイメージを得ることができました
それは金持ちと貧乏が上部構造と下部構造ではない、表裏のものであるというような捉え方ですね-ただし
簡単に入れ替わるべきと思います


同一性とその結果としての反復行動にて
その人が少し見えてくるのかもしれない

絵画の話から変な方向に話が来ましたが
絵画は結構その点、
無意識的な説明をしやすいし 逆に豊富なイメージを与えてくれるものかもしれません

ただわたしは 現代アートには自分を豊かにしてくれるイメージを持ちえません
すごい情熱がないとコレクションできないのではと思います
c0156217_20435739.jpg

[PR]
by italofran55 | 2009-05-06 20:44 | 医学