診察室の窓から


by italofran55
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

こころと傷

大地震の精神的な傷 原発の被害にあった傷 
どのような傷を 人に与えるのであろうか

傷と精神 傷と文化は 実は深い関連があるかもしれない

文明の発祥は 泥や石につけた傷から始まる
おそらく そのときから 人は時を知り
季節や周期を知り、時に管理され、あるいは管理することを始める

そのまえに、DNAの傷は、次第に違う生物を生み
その中で環境に適したものが生き残っていく

そもそもDNAは、始まりのマークと終わりのマークがなければ
複製もできない
傷は始まりであり、終わりである
最後は遺伝子の傷で生物は死んでいく

精神分析でも人は生まれ落ちたときに母との分離という
最大の心的な傷を受けるという仮説を立てている
あらかじめ 人は失われているというのである

傷は記憶そのものとも関係があるだろう

軽い刺激は こそばゆい かゆい
あるいは 性的な刺激となる
重い刺激は 残り 傷となる

傷ついたときの記憶は
ときとして甘美になり

時として
不安や恐怖の元となる

心的外傷という言葉がある

どんなものが心的外傷になるかは
主観主義と 客観主義とがあるようだ
自分がつらいと思ったものは傷になるという考え方や
一般的に 客観的に傷になるものは
いろいろな形でやはりどこかで傷になっているという考え方である

わたしたちは日々 いろいろな傷を負って生きている
年をとった人たちの
深いしわをみると
それもおそらく
皮膚の小さな傷の集合と思われる

良い傷を負って生きてけるだろうか
それが問題だが

ひとは残念ながら
偶然に支配される動物でもある。

偶然に対し反抗して
生きるのが 人間の運命なのだろう。
c0156217_22352995.jpg

[PR]
by italofran55 | 2011-04-01 22:31 | 医学