診察室の窓から


by italofran55
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N博士の思い出

N博士はvividな意味で司法精神医学の面では
日本有数の働きをしている先生だ

そちらに疎い、というより避けている
わたしでも、たまに先生の意見や論文や
講義録を目にすることがある。

N博士は、もう十数年前私のクリニックで
外来のバイトをしていたことがあるのだ。

先生はまだ若く、たしか、マツダのロードスターをマニュアルかなんかで
乗り回していたか、
しかし、その頃から人並み外れた硬骨の人であった気がする

たしか、父上か叔父さんかが特攻隊で亡くなったといっていた。

それからほどなく、警察関係の研究所にいかれた
現場の司法精神医学的問題や、事件解決に当たっての捜査の心理的側面からの医学的な支援なども行っていたのではなかろうか

というのも、現場の日本警察の閉鎖性やプロファイリング的な意味での遅れを嘆く
一文をどこかで読んだ覚えがあるのだ

さいきん、日本の精神科医の同業者の組織で行った講義録を読む機会があった

なるほどこんなことやっているのねというほど
総合的で最先端な研究をなされているのでびっくりした

現在犯罪を犯す傾向がある性格を
アメリカでは反社会的性格障害とよんでいる
実際に犯罪者の何割かはこのタイプらしいのであるが

この診断が見直されて
サイコパシー型というものになるだろうとのことである

少し簡単に索引させていただくと

このタイプは自己中心的で、特権があり優遇されるべきとの思いが強く
自己の利益を満たしてくれる目標に意欲を持ち
他人を支配したがり、他人に損害を被らせたり支配したがり
他人を操り、利用し、騙し、詐欺にかける傾向がある

ということである
そして、このなかには社会的に成功していくタイプがあり
間接攻撃が得意で
実業界、学会、政界には結構いるとのべておられ、実際、政界の現状なども
そうみられるといい、そうした人はサクセスフルーサイコパシー型というらしい

成功している社会人には結構あるというのだ

8月は終戦の番組をよくやっており、太平洋戦争での軍部による
悲惨な話が多く、目を覆いたくなるのだが 
日本軍は負け始めると、棄民に加え、棄軍ということさえなしていたという
しかも上層部は安全なところで政争にあけくれていた

日露戦争の奉天会戦にてマッカサー元帥の父がやはり武官として
観戦しており、そのときに日本の将軍の尊大な態度にびっくりしている
その伝統であろうか

よく考えてみると軍部の偉い人にはこのタイプが実に多かったのであろうと思われるが
成功型サイコパシーはそんなにたくさんいるものでもないはずだが

ナチスドイツの話などを聞くにつけ
非常時には人は変質してしまうのであろうか
または教育-宣伝の問題が多いのであろうかとも思われる。

N博士のこの講義は精神病理学、神経心理学、脳の画像診断学、統計学、神経薬理学を駆使した見事なものであった。

博士の根底には、特攻で死ななければならなかった肉親への思いがあるのではと思われる
そして、博士にも真の意味での憂国の情があるのだろう
このままで日本はいいのかという思いもあるのだろう
そうでなければ、このような苦労な仕事に手を出すまい
たいへんな愛国者である

付け加えれば、博士はそうとうチャーミングな美女であった。
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by italofran55 | 2010-08-13 22:35 | 医学