診察室の窓から


by italofran55
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共同体幻想と抗うつ薬

極端なことを言ってしまうと
われわれは幻想で生きている、あるいは想像のもとに

人間関係でいくと、私たちは本当に親しい人の数は150人を超えないといわれている(平安貴族のcelbreで
activeな階層もこの人数だそうである)

それ以上は関係は薄まるだけでは
同級生の中でも口もきいたことない人多いでしょう?

私たちは現実の原野を歩いているうちに地図を描き出し
地図から学び原野を歩く

行ったこともないところの地図から
世界や宇宙を想像して生きる

外延し包括行動する動物なのである

同じように
大きな集団の人間関係も
現実の人間関係から
想像される人間関係へと行きつ戻りつしている
ある想像を基本に出来上がっているだろう

われわれが生きているー幻想している
感情共同体、職業共同体も
そうして地図のように
expandingし、また人は新たな共同体の構成規範を守るようにして
想像的(危険を避け、安心しできる行動を選ぶ)ー平均的ー律動的に生きる

医学的にいえば
平均ーあるいは正規分布の中にはいっているということが
健康という概念の中では重要である

血液検査の正常値はやはり
ある値の中に入っていることを要求される

精神疾患においては、まだこういったことは
心理テストや画像診断以外では一般的ではないが
それも正常範囲が画然と示されることはない

性格傾向 行動パターンなどは
ある枠の中に入っているー平均的であることが
やはり健全の指標になるのだろう
パーソナリティ障害などの要素も
ある平均的なものからのはずれ方で出来上がっている

健全とは結構地味なことなのだ

ここで共同体ー構成員の平均概念 ができあがっていくと同時に

そこからの外れ方によって
精神疾患も出現してきているのではないかということが想像されるし
よくいわれていることだ

現代においてはglobalisimのもとに
それに侵された社会はとくに

うつ病らしきものーdepressive moodは加速度的に増大し
共同体からの逸脱性を切り捨てるのではなく
治療ということで回復させようとするーこれが近代社会だ

大きな共同体的治療構造の要請の元に
科学および資本から抗うつ薬が生み出され

診断基準、技術、診断者、communicationーdeviceの発達とともに
うつ病らしきものも爆発的に増加し

うつ病に対しては抗うつ薬を投与という
かなりおそるべきpatternarism-ワンパターンが出現してきている

それは大量生産、大量消費の裏返しのようにもみえる
そこからは落ちこぼれる患者もかなり出現するー当たり前かもしれない
共同体からのおちこぼれを共同体の論理で治療しようとするからである

うつ病ーうつ状態ー適応障害は
じつは、共同体からの放逐の恐れから生まれているとも読める

共同体からの放逐が決定的となると
群れから追放された猿と同じで
周辺をうろついてメス猿を瞬間的に寝取るといったアウトロー(逆切れかつ共同体への切望)として生きるかー自己愛毀損型
孤立して死んでしまうかということになるーメランコリー型

地政学的にも外延的ー包括的要素の少ない
実は精神的近代化のなされにくい日本社会において

共同体からはずれてしまったオスが自殺を選んでしまいやすいのは
日本の共同体がもともと
あのおおらかな万葉の時代にも
大伴家持の歌-海行かばなど、にあるように
感きわまると死んでもかまわないといった傾向がほのみえたりする

村社会的な閉じた性向を持ちやすく
またある時期から総動員体制社会になり
生産に傾斜した共同体のみが特化し
複数の共同性に人が存在することの余裕がなくなっているためではないかと思われる
そもそも日本には西欧的な意味での市民社会が現代においてもないといっているヨーロッパの学者もいた
(ものすごい勢いで自殺が増えているー10年間で県庁所在地 一個が消えているのだ)


そうしたものに共同体的論理で推し進めていって
ときに、破綻してしまうのが

抗うつ薬のみ
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による治療の破綻であり
それは共同体の事情から必然とも言えるだろう

うつ気分はある意味では人類ー共同体の宿命である

変態するインフルエンザに対する人の挑戦と同じように
これからも形を変え
共同体からの逸脱傾向が観察されるだろう
それはある種の感染症のように完全に駆逐されたということにはならないだろう

わたしも大量生産的治療に陥らないように自戒したいのだが
できるだろうか  心配だ
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by italofran55 | 2009-10-02 23:03 | 医学