診察室の窓から


by italofran55
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ダブル デプレッション

うつ病には、本当の重症で治療が必要な、大うつ病ーmajor depresion というものと
それには至らない いろいろな軽症のうつ状態があるーminor depression

昔は、それを抑うつ神経症とよんだり、抑うつ親和性パーソナリティ障害 と名づけたりしたが


最近は軽症のものをまとめて気分変調性障害とうつ状態を伴う適応障害障害などと診断することが多い
それが、なんらかの機制で大うつ病になったものを
ダブルーデプレッション double depressionとよぶ

そのような病態の人は多い
うつの極期には、抗うつ薬を大量に与えられていることが多く
そのような状態で、東京以外から紹介されて転院されてくる患者さんもいる

しかし、ある問題がある
大うつから改善して軽微なうつ状態のときに
それほどの薬が必要であるかという問題と

大うつの背後に隠れていた
パーソナリティの問題に対する
治療の方針である

一見大うつを示すであろう
パーソナリティ障害としては
境界性ー情緒不安定型
自己愛性
演技性
依存性
強迫性
回避性
など多岐にわたり
一見のうつ状態を示す

パーソナリティ障害の薬物療法については
エビデンスの定まったものがない

抗うつ薬ーSSRIが効果があるという意見が多いが
わたしには大量投与ー長期はあまり意味がなく
危険とさえ思える

都立松沢病院でパーソナリティ障害の権威となった
林直樹先生も抗うつ薬は副作用のほうが多いと述べられている

情動の不安定さを特徴とする疾患においては
脳内の伝達物質の環境も
激しく変化していると考えられる

そうした意味では
抗うつ作用の前に
基礎的な抗不安作用で
まず落ち着いてもらうことが先決のように思える


向精神薬ーとくに非定型を少量とか

気分調整薬を中心にとの意見ー産業医大の中村教授からは直接お話を伺った
などがある

抗うつ薬自体が禁忌という意見さえあったほどだ

また、このいろいろな小量な薬物の組み合わせで何とかやっている事例が多いだろう

精神内界の混乱、痛みに直接接している患者さんたちは
本当に大変なので
精神内界をぼやかしてくれるような薬剤には
反応しがちであるし
量も多く求めがちとなる

あるパーソナリティ障害のひとたちは
依存形成の傾向が強いということが
いわれている
そうならないように注意しているし

紹介されてかなり多いなと思われる患者さんとは
よく話して抗うつ薬の減薬を指導することが多い

あとは、その患者さんの不安に応じて
気分調整薬などで対応する

ボーとしている感じが取れて
むしろ改善することが多い

ただ私のところでは
重いパーソナリティ障害の治療は治療構造上できないので
お受けしていない

薬物療法でよくならないことが多ければ
むしろ心理療法の適応のほうが
有効と思われる
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by italofran55 | 2009-08-16 11:11 | 医学