診察室の窓から


by italofran55
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うつ病の過去視、未来視

うつ病の重症例には
過去への悔恨と、そうでなければいまはちがうのに といった 仮定の時制が含まれるが基本的には不可能である 
過去における、ある事件による現在の時間空間の狭隘化ともいえる

未来視においては、過去から現在への時空の狭隘化がますますひどくなるという
仮定がやはりはいっている

時空が極端に狭まればひとは死を選んでしまうだろう
狭いところからどこか広いところを目指して

過去から現在への記憶の流れは、実は一定でなく
空間はゆがんでおり、記憶の波の速度は、事件の重量に影響を受け
あるときはその質量の巨大なところでは
曲がり、速度を変えて現在の事象に至る

どこかで聞いたことありませんか?
そうです、相対性理論です

人の記憶ー精神症状にも相対性理論に似た
構造があるのかもしれません

ところで、過去の悔恨、未来への絶望の記述は
昔のえらい精神病理学者の書いたうつの本には
たいがいでてきますが

げんざいのうつの患者さんたちは
そこまでのことは訴えません

うつの構造がアノミー化していると誰か言ってました

情報社会、人の階層構造の崩れー家庭内においても
またすべての情報をも相対化し消費化する社会
価値観の相対化した社会において

経験が固有の強さを持たなくなり、均質化してきたせいではないでしょうか

情報化社会の主人公としては殿様化し
消費社会においてはトレンドのドレイと化す現代の私たちは

悩みも結構矮小化してきているかもしれません

周りの人間関係、いじめ、しかと、不全感
そこには壮大な物語が消えてしまったのです

もちろん教科書的な重症の方もたまにはいらっしゃいますが
うつでないこともままあります

むかしは分裂病ー統合失調症の妄想も壮大でしたが
そちらのほうも、アモルファス化、低エネルギー化しているようです

強い構造が一見消えた、次の世代には
どんな病像が待っているのでしょうか・
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by italofran55 | 2009-07-09 07:15 | 医学