診察室の窓から


by italofran55
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神々の沈黙

神々の沈黙という本は、
最近、精神科の偉大な先輩、加藤敏氏、野村総一郎氏が好んで取り上げているので
ちょこっとつまんでみた

著者のジュリアン・ジェインズはアメリカの天才的文化人類学者で
この20世紀最高といわれるこの著作だけを残して早世したという

名前からして尋常じゃないな

彼が言いたかったことをつまんでいうと
古代人は右脳と左脳が現代人のように連携しておらず
右脳で現在人の幻覚に似た全体的意思を神のものと感じ
左脳でそれを遂行していたというのであり

現代の統合失調症の幻聴などはその残滓であるという

またそのころは、人は意識という近代的個人的なものは持たなかったゆえに
統合失調症やうつ病も出現しておらず

近代の神の死あたりより
それらの疾病が出現してきたというのである

そのころはちょうど、生産力の増大により個人の所有が認められてきたときと一致するというのである

精神科の疾病はそのとおり、時代の刻印を濃く受けているといってよいだろう

ではその古代には神がいて今は神が沈黙しているのであろうか
あるいは、ニーチェのいうように神が死んだのであろうか?

ここからは私見である

鳥の軍団や、蜂の集団行動を見てみよう
見事なものである
おそらく、ジュリアンのいった神の命令が働いているものと思われる
言葉でない、音波、電子信号に類する何かが働いていないと
この整然とし、ストレスに柔軟に対応し
複雑系の行動は取れない

それに対応し人が失った脳機能を
鳥や、蜂は明らかに有しているのである

ジュリアンは古代人が同じような脳機能を持っていたといいたいのであろう
個人がないので生贄の予言にも嬉々として応じていた
集団的な信号が言語でない方法で聴こえていた可能性がある

集団の首長は言葉を独占し予言し
右脳に生じた神の言葉を
集団に伝えていた
言語が発生し、そのほかの機能が衰退し始める

王の祖先は預言者であろう

そうしてはるかな時代が経つうちに
ひとは、食物の備蓄を知るようになる

上流階級の独占であった言語も次第に集団に浸透し
時間に支配されていた人々は
時間をある稚拙な意味ではコントロールできるようになる

言語機能はそうした本質的な意味で
階級をくづす本質を持つという人もいる

時間のコントロールは所有の始まりであり、自然の征服である

人がそうして賢くなり
神が自分に似せて人を作ったと信じたころより
イーリアスとオッデッセイアの物語に決定的な差があると
そこに個人の感慨が始めて出現しているというような事態になる

神は人になれ親しいものに成り果ててしまう
そして
現代の初め
神は死んだとまでいわれてしまうのである

はたして、神々は沈黙しているだけなのか

はたして、神々は死んでしまったのか

今のところはわからない
科学というものは
神を探そうという深層心理をもっているだろう

失くしてしまったり、隠れたしまったので
人はそれを探すようになった

ただ、おおきな全体の一部分であったひとは
世界の単なる構成物であるという宿命と

普遍的な神の意思をもったものであるという
矛盾した存在となってしまったのである

そこから近代以降の

精神的疾病の大部分が
そのときあたりから
出現してきてしまったのである
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by italofran55 | 2009-05-21 21:23 | 医学