診察室の窓から


by italofran55
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あらかじめ失われた恋人たちよーうつの構造

タイトルは相当古いな

はるか昔、わたしが山から出てきたとき
東京ではアートシアターギルド ATGという映画運動があった

桃井かおり、原田芳雄、松田優作とかがでることもおおかった

一応映画少年であったわたしは、その類の映画は好んでみていたが
映画少年過ぐ、の時代に入ってしまった

またこの題名の映画を見てみたい
あのころ難解であったかずかずのアフォリズムが
今は少しわかるかもしれない

じつは、あらかじめ失われた という構造は
うつ病の構造そのものである

帝京大学の精神科の准教授で秀逸な精神病理を常に展開する
内海健氏の著作にもいつも出てくる

または、この喪失構造については精神分析理論でもあり

人は幼児期に母との一体という楽園から
あらかじめ追放されているという骨子である

一生かかって楽園を回復するというのが
ひとの運命とも言える

喪失を認めない人間がうつ病という裂け目に落っこちてしまうというのである

ここで、やはり無意識と意識の表裏一体の不思議なメビウスの輪
エッシャーのだまし絵のような、無限のエネルギーと元に戻ってきてしまう
構造に行き当たる

人間存在の管腔構造と同様のものだ


原始生物は細胞から、徐々に管腔構造をとるようになることで
食物を摂取し排泄するサイクルができる
食欲の始まりである

欲動は、裂け目と裂け目を形成する周辺
、あるいは、空虚な空間ー何者かに囲まれたーに存在させられる

欲動はそれを埋めようという意思により
管腔構造を突き動かしている

埋めようという運動ができなくなるとーdepression
極端には死んでしまう

うつはある意味では、欲動の死の予感であり、怖れの意識化である
運動の硬質化である

管腔構造が人にはもうひとつ加わっている

腸管系排泄腔になぜか程近いところに派生した
性器腔である、
性欲はおそらく食欲から派生している
そして

女性の性器と、男性の性器はまるで表裏一体のような構造を持っている

あらかじめ失われたなにかのように

それらはひとつでは生きていけないが
合体したままでも死んでしまう
ほとんどの時間は
距離をとっている
あたかも裂け目がなければ
欲動が発生しないかのように

恋人たちはあらかじめ失われたものを
求めるように惹かれあう

そして欲動の背後に
あのうつとかいうやつが潜んでいる

うつを無意識に体験した人は
そいつをやりすごすことができる

赤ん坊はいつも何かを失って泣いているよね
それは激しい獲得と喪失の時代だ

もうぼくは一回死んでいるんだと
私は本当に死ぬほど悲しかったのよと


だからきみやあなたががうつに

あなたを昔から知っているわよ
とささやいたとき

うつはまた
あなたの背後に

c0156217_0283964.jpg隠れてくれるかもしれない
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by italofran55 | 2009-05-12 00:13 | 医学